2018年は、わりと地図上で〈〇危険マーク〉のルートが点在する山を歩きました。(八海山、下ノ廊下、妙義山など) 登山道の危ない箇所には自治体や山小屋などが設置してくれている「鎖」や「ロープ」が掛かっている事が多いんですが、ふと「鎖場やハシゴって普段あんまり練習できないし(いろんな意味で)難しいよな」と思ったわけです。
鎖場に限らず、いわゆる「難所」と呼ばれる危険そうな場所では両手足を使った「三点支持」で移動していくのが基本となります。鎖やロープなどが掛かっている場所は、当然そういう「危険だよ」という場所なので、この「三点支持」が有効なんですが、せっかくの「お助けアイテム=鎖やロープ」も上手に使わないと、ちょっと危ない思いをすることもあります。
目の前に鎖やロープが垂れ下がっていると、ついそれに頼りたくなってしまうというのが心情です。ですが、「三点支持」の基本である「保持面を形成する三点」は「狭からず遠からず」程よく離れているのが理想的で、その方が次の移動もしやすく、安定します。(「三点支持」が良くわからないよ、、とい方はぜひ調べてみて下さいね)
ところが、つい、鎖を綱引きのように両手でガッシリと握ってしまうと、三点のうちの二点が近いところで重なり(点ではなく線になってしまうので)左右に倒れやすくなったり、足下の摩擦が減り、かえってズルッと滑りやすくなってしまうこともあります。それでも腕力があれば突破できたりしますが、やはり鎖やロープは「支点のひとつ」と捉え、なるべく自分の手足メインで上り下りするのが理想だと考えます。
僕が「鎖場は難しい」と思ったのは、登山(一般的なハイキング)とクライミングの「中間にある存在」と感じたからです。クライミングのルートであれば当然そういった気構え、装備で臨みますが、「鎖場」は今まで歩いていた登山道に唐突に現れたりします。それまであまり使っていなかった筋肉や、身体の動かし方が必要になるので、はじめはうまく頭と体が動かないことも多いのです。
また、鎖やロープの「端部が固定されているものの使い方」というのもポイントです。具体的には鎖やロープを「握ったまま滑らす」ということなんですが、感覚的に近いのが「階段の手摺」ぐらいで、日常ではあまり練習する機会がありません。なので、意識的にそういった「(ちょっと危険な)状況を自分で作って試す」というのが、より実践的な練習法となります。(具体的には階段の手摺りに体重を預けながら登る、下りる等)
ボルダリングジムなどでは、手足の置き方、体重移動の練習などは大いに役に立つので、まだ、行ったことがない人は試しに行ってみるといいと思います。また、その時に「登り」だけでなく、ぜひ「下り(クライムダウン)」の練習もしてみて下さい。自分はどういう姿勢、状態からの移動が苦手なのかを知っておくことだけでも、難所を「安全に突破することができる手がかり」になると思います。こんな梅雨空の時は、来たるべき時のために、普段できない練習、トレーニングをしてみるのも有意義かと思います。
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